2009年5月30日土曜日

第11回「DVU 2」に触れて

著者:DVU編集委員会
出版社:自費出版
価格:800円
初版:2009年2月
サイズ:A5判

今回は雑誌の中の心を揺さぶられたインタビュー記事から。
「DVU」という映画雑誌の2号に掲載された京都市中京区麩屋町にある
気骨レンタルビデオショップ「ふや町映画タウン」店主・大森さんのお話。

こちらのお店の新入荷作品は新作ではなく、大森さんが買い付けてきた
作品であり、それはDVDではなくかつて流通していたビデオであるため
世間的には旧作にあたる。しかし、その質量は新作中心主義の大手
レンタル店を凌駕する。映画好きは、世の中のビデオ屋がいかに揃って
いないかを再確認する事になるという。しかし大森さんは、みんなが古い
映画を借りないから、大手も新作に走らざるえない状況を説く。ふや町
映画タウンも趣味の品揃えではなく、一人でも多くの人に映画を見てもらう
為の品揃えを心がけているが、現実問題としてレンタル回転率が低いこと
もあり6年目の営業もなかなか苦心されているとのこと。

このような貴重なお店は発見した感動で安心してしまい、意外とその後放置
してしまうというお話には多いに納得できた。品揃えのよい店を見つけたの
でこれでいつでも借りに行けるという根拠なき安堵が僕にはわかる。客側の
視点としても店側の視点としても。

最も感銘を受けたのは、貪欲についての話。
自分の好きな映画しか観ない、という行為。自分の趣味を早くに決定して
しまうのはもったいないと言及されている。世の中、面白いと「思われ」ない
映画 がほとんどなのだと認識された上で、過去に自分が面白いと思った類
の映画を 反芻することが一番楽な行為であるが、それは興味の拡張を終
焉させる行為 であると。実はその行為がマッチポンプ式に消化不良映画を
増やしていく一因になっているではないか。

映画、文学、音楽、食べ物。。貪欲にはお金がいるように誤解されるが、
反芻 している回数を新しい興味に向ければ、時間は還ってこないが違う
人生が そこに現れることもあるであろう。僕自身、耳に痛い話でありました。
時代劇 も西部劇も観てみようか・・・な。